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マダニが媒介するウイルス感染症について

マダニが媒介するウイルス感染症について

マダニは、家庭内に生息するダニとは種類が異なり、主に森林や草地などの屋外に生息しており、山岳地のみではなく、全国的に市街地周辺でも見られます。吸血前でも3~4mm程度の大型のダニですが、人間の皮膚に取り付くと皮膚の中に口器を突き刺し、数日あるいはもっと長く吸血し、さらに大きな血マメのように見えることもあります。この時点で虫体をつまんで無理に取ろうとすると、口器が皮膚の中に残ってしまうことがあるので、吸血中のマダニに気がついた場合には皮膚科専門医あるいは近隣の医療機関を受診して下さい。

マダニが媒介する感染症としては従来から、リケッチア感染症(病名としては日本紅斑熱やライム病など)が知られていました。吸血後に発疹および発熱などの症状が出現しますが、リケッチア感染症に対しては有効な内服の抗生物質があるため、マダニによる吸血が確認された時点で予防的に投与する場合もあります。発症してから内服しても有効ですから、リケッチア感染症についてはそれほど恐れる必要はありません。

2012年に初めて日本での発症例が報告された、マダニが媒介すると考えられる新しいウイルス感染症が重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome, SFTS)です。2013年の5月末の時点で、日本では9例が発症したという報告があります。これまでの疫学調査からは、マダニに咬まれてから発症するまでの潜伏期間は6~14日程度で、最初に表れる症状は、原因不明の発熱および消化器症状(食欲低下、嘔気・嘔吐、下痢、腹痛)が多いようです。検査結果では、血小板および白血球の減少、血清酵素(AST, ALT, LDH, CKなど)の上昇、血清電解質の異常などが報告されています。

現在のところ、市中の医療機関で行うことができるウイルスの検査法はなく、またウイルスに対する有効な治療薬もないため、症状が重篤な患者さんは入院の上、全身管理が必要となります。もっとも重要なことは、マダニに咬まれたということを受診した医療機関で必ず報告することと、上記の潜伏期間内に原因不明の発熱および消化器症状が出現した際には、至急、入院が可能な医療機関を受診することの2点です。より詳細な情報を入手するには、以下に示す厚生労働省のホームページなどをご覧下さい。

[重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

(文責:松村康洋)

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